ビジネス系専門学校で授業を持っています。
科目は「組織行動論」「リーダーシップ論」。
オンラインですが充実した授業をさせてもらっています。
この1月から授業は「リーダーシップ論」に入りました。
テキストは内村鑑三『代表的日本人』。
賛否両論あるでしょう、
リーダーシップという文脈で書かれた本ではありませんし、
宗教色も強い。
しかし取り上げられている5人に加え、
著者である内村鑑三はまさに日本を代表するリーダーだと思うのです。
リーダーシップ云々以前に、
リベラルアーツを大事にしたいわたしは、
苦肉の策でしたがこのテキストを選定。
読解には内村鑑三の見方や考え方だけでなく、
聖書や世界史や日本史などの知識が必要で、
さらに難解な言葉が使われており・・・
学生には薄いのに難易度が高い本です。
深淵な分、授業で余白をどう作れるか?
こちらも毎回悩みが尽きません。
内村鑑三について取り上げたあと、紐解いた1人目は二宮尊徳。
どうせ今日のリアクションペーパーには
「二宮金次郎が何をした人か知れてよかった」
が並ぶだろうと思いきや、とんでもなく。
「今も昔もついていきたいと思うリーダー像は同じだと思った」
「村の人にちゃんと向き合ったから信頼が得られたんだと思う」
「二宮尊徳のこの言葉が、今の自分に言ってくれているみたいに感じた」
「先生が(テキストは)40歳になるまでは売るな捨てるなと言ってた意味がわかった」
などなどなど・・・
テクニックばかりの現代に埋もれる彼らが、
内村鑑三の筆・二宮尊徳の行動を通して、
見えない何かをしっかり受け取ってくれたことが何より嬉しい😭
リーダーシップなんて言葉がない時代から、
現代に我々が<リーダーシップ>と呼ぶような行動をしていた人が日本にいたということ。
そしてそれは決してテクニックではなく、
だからこそ時代を経ても通用するということ。
わたしがこのテキストを用いて伝えたいのはこういうこと。
授業はあと片手でも余る回数で終わってしまいますが、
最後まで全力、全身全霊で進めていきたいと思います。
(就職率を上げたいそうで授業数が減り、今年度限りの内容になってしまった😢誰か仕事をください!)
読んだことのない方、ぜひ手に取ってみてください~😊
『Representative Men of Japan』というタイトルで英語で書かれた本が翻訳されている。
左上から西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、左下から中江藤樹、日蓮上人。
二宮金次郎の銅像は戦争で供出され今では珍しい。石像が多いのはそのため。
尊徳は徳を尊ぶ人という意。
著者内村鑑三はキリスト教徒。日清戦争開戦にあたり世界に日本の名声を高め、これが正義の戦いであることを示す目的で書かれたものだった。だから最初に西郷がガッツリ取り上げられている。
が、やがてこの戦争の本質を知った内村はその後非戦論者となり、日露戦争には強く反対する立場を取った。